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「始まったのは大連だった」書影

始まったのは大連だった

リュドミーラの恋の物語

リディア・ヤーストレボヴァ著/小山内道子訳


ISBN978-4-915730-91-7 C0097
四六判上製 本文縦組240頁
定価(本体2000円+税)
2012.03

白系ロシア人の裕福な家庭の一人娘として育ったリュドミーラ(愛称ミーラ)。一九四五年八月、日本降伏後の大連に進攻してきたソ連赤軍をロシア人は欣喜雀躍して迎える。ところが、間もなく大連のロシア人男性は全員理由もなくソ連官憲に逮捕され、シベリアへ連れ去られる。父親を失ったミーラは理解不能な理不尽と絶望に沈むが、偶然若いインテリのソ連軍将校サーシャと出会い、恋に落ちる。夢見心地の幸福な日々。しかし、ソ連軍人に白系ロシア人との結婚は許されない。別離が訪れ、その後ミーラは偽りの結婚へ身を任せる。ソ連への帰国を拒否したミーラたちは新天地オーストラリアへ第二の故郷を求める。そして、二十五年後、運命は二人を再び結び付けるのだった……フィクションのロマンチックな恋物語の中から知られることのなかった日本統治下大連の白系ロシア人コミュニティ、オーストラリアへ移住した白系ロシア人の生活、さらにはソ連時代の良心的知識人たちの実態も浮かびあがる。


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