第1章 序論
第1節 問題提起
第2節 歴史的概略
第3節 方法論
第2章「在外公会」の教会史的位置付けに見る空間の分節化
第1節 1920年11月20日付のモスクワ総主教庁の決議
第2節 在外ロシア最高教会管理局の設置とその意味
第3節 意味の中で引き裂かれるロシア人ディアスポラ
第4節 教会ディアスポラから見たロシア革命と教会
第3章 ディアスポラに宛てた回状をめぐる審議に見る最初の神学的探究
第1節「在外公会」の政治性
第2節「在外公会」議事録
第3節 公会の自己規定
第4節 ロシアの霊的復興部部長の発言に見る政教分離の限界
第5節 聖職者と一般信徒からなる教会
第4章 エヴロギイ派の形成過程に見る2つの教会論
第1節「府主教」エヴロギイの登場
第2節 1922年5月5日付の布告と「総主教の意志」
第3節 不和の発端
第4節 エヴロギイの西欧派遣と価値の転換
第5節 パリのロシア移民とエヴロギイの翻意
第6節 パリ神学院の創設と自由主義インテリゲンツィヤ
第7節 在外ロシア正教会指導部における決裂
第5章 亡命ロシア教会内の確執と極東の宣教会
第1節 在外ロシア正教会の組織化に際して
第2節 在外主教シノドの分裂:総主教の支持をめぐって
第3節 極東の教会の帰趨をめぐって
第6章「忠誠宣言」とその拒否に見る神学的探究
第1節「神に選ばれし首座主教代行」セルギイの演出
第2節 後景化された総主教位継承の歴史
第3節 呼びかけに見るモデル読者の両義性
第4節 迫害から逃走した亡命者と自由のないセルギイ派
第5節 光のロシア正教会と闇のソヴィエト政府
第6節 神の右手と罰
第7章 在外ロシア正教会における教会の一致──和解のプロセスをめぐって──
第1節 在外ロシア教会の諸問題に関する在外信徒への書簡
第2節 書簡の示す分裂観
第3節 和解のプロセス
第8章 ブルガーコフ・ソフィア論の異端宣告──教会の寛容と非寛容──
第1節 教会共同体における寛容と非寛容
第2節 異端宣告当時のブルガーコフ
第3節 ブルガーコフ・ソフィア論に対する判断の諸相
第4節 教会当局が関与した理由
第5節「異端者」に対する処置
第9章 ヨーロッパに定着したロシア人ディアスポラの神学的探究──ディアスポラの児童教育論に見る──
第1節 ロシア人ディアスポラ社会における在外ロシア正教会第2回公会の位置
第2節 ソカリの教育論:司祭の役割
第3節 ロシア人ディアスポラによる正教の維持
第4節 ベロヴィドフの教育論:学校の整備
第5節 フィリップの教育論:教科書の必要性
第6節 公会において無視された点
第10章 結論
補遺 在米ロシア正教会と在外ロシア正教会
第1節 革命当時の在米ロシア正教会
第2節 本国教会の混乱とデトロイト「公会」
第3節 府主教プラトンと在米正教会の分裂
第4節 全米教会公会の説明
第5節 二つの解釈とその意味
近藤 喜重郎(こんどう・きじゅうろう)
神奈川県生まれ。東海大学文学部文明学科東欧課程卒業。同大学大学院文学研究科文明研究専攻博士課程後期修了(文学博士)。現在、東海大学非常勤講師。専攻は、キリスト教史、記号論、文明学。主な論文は、「総主教ニーコンの改革に関する比較文明学的考察」、「第二次世界大戦以前の在外ロシア正教会における不和と和解」(ロシア語)、「革命期教会人の総主教ニーコンの形象」ほか。