はじめに
第1章 エミグラント(亡命者)の登場
1 10月革命前の来日ロシア人
2 「白系ロシア人」――用語の問題等
3 亡命者に関する統計
4 日本当局による亡命者の扱い
1.来日したロシア人はなぜ少なかったか?
2.前例がなかった「無国籍」身分
第2章 在日ロシア人の〈顔〉を変えた関東大震災
1 大正期の在日本帝政ロシア外交機関の状況
2 亡命ロシア人の〈第一波〉の顔
3〈第二波〉のプラグマチックな亡命ロシア人
4 神戸――〈西欧化への窓口〉の魅力
5〈異文化を吸収するウォーターフロント〉神戸外国人居留地
6 関東大震災と神戸外国人委員会の活動
第3章 阪神間在住白系ロシア人社会
1 日常生活の困難
2 亡命者の組織・団体について
3 正教信仰=〈ロシア性〉アイデンティティの基盤
4 亡命者の商業活動――小売行商から会社へ
第4章 モロゾフとゴンチャロフ――〈高級な味の改革〉をもたらした人々
1 フョードル・モロゾフ――10月革命の〈最初のエミグラント〉
2 マカール・ゴンチャロフ――ロマノフチョコレートの登場
3〈異郷〉で受けた辛い経験
4 モロゾフ家の4世代
5 モロゾフの〈家訓〉とその『三徳』
6 モロゾフ家とその日本人の知人との交遊をめぐって
第5章〈宝塚歌劇団〉の恩人たち――阪神間の文化の展開とロシア人
1 阪神地域に在住した芸術家・音楽家等
2 小松益喜の絵画に描かれた白系ロシア人の家屋
3 外国語教師を務めた亡命ロシア人
第6章 親日派と傍観者――亡命ロシア人の目で見た日本の光と影
1 旅行者と亡命者の日本観の違い
2 亡命ロシア人の回想録の比較――その類似点・相違点(日本観を含む)
3 ドミトリー・アブリコソフ――身分の枠を超えた人
4 パーヴェル・ヴァスケーヴィチ――最初のロシア人日本学者
5 アブリコソフとヴァスケーヴィチの共同生活
6 日本での暮らしを選んだ他のロシア外交官
第7章 戦後に来日した亡命者の〈第三波〉
1 1940年代に起こった変化
2 戦後の状況と帰国の問題
3 ロシア人被爆者
4 1950年代以降の白系ロシア人の状況
第8章 3人の運命――半世紀におよぶ別離と邂逅
1 海軍の将校から日露戦争史作家への転身(ボリス・ボック)
2 「ロシア人」から「ドイツ人」への転身(ニコライ・ボック)
3 フランスの将軍になった冒険家(ジノーヴィー・ペシュコフ)
第9章 日本での捕虜体験を語るロシア人
1 ロシア人はいかに松山について知ったのか?
2 ヴァレンティン・ピークリ――ロシア人に〈マツヤミ滞在〉を紹介した人
3 ヴィターリィ・グザーノフ――ロシア人捕虜の墓参りスタート
4 日露戦争開戦100年を迎えて
第10章 亡命ロシア人と映画――銀幕の歴史を踏まえて
1 東洋に散らばった白人女性
2〈五族協和の楽土、満洲国〉の地にて
3〈異人顔〉の役者たち
4 新上海伯爵夫人
おわりに
初出一覧
付属資料
1 神戸市立外国人墓地の調査の資料
2 関東大震災と白系ロシア人に関する資料
3 帝政ロシア外交官に関する資料
人名索引
ポダルコ・ピョートル(PODALKO,Petr)
1964年ロシア(当時ソ連邦)生まれ。ノボシビルスク国立大学人文科学部歴史学科卒、大阪大学言語文化学研究科修士・博士両課程修了。現在、青山学院大学国際政治経済学部教授。編著に『異郷に生きるIV――来日ロシア人の足跡』、『異郷に生きるV――来日ロシア人の足跡』、共著に『異郷に生きる――来日ロシア人の足跡』(I〜V、いずれも成文社)、『ドラマチック・ロシアin JAPAN』(ロシアン・アーツ企画)など。訳著に『2000年前の東アジア――弥生文化の再検討』(共著、大阪経済法科大学出版部)。