第一部 知識人イリア・チャヴチャヴァゼと植民地ジョージア
第一章 序論──ロシアの「東洋」としてのジョージア
1 ジョージア文学の練習曲
2 ロシア文学のポストコロニアル批評
3 ジョージア文学のポストコロニアル批評
第二章 『旅行者の手紙』のパロディ、アイロニー
1 イリア・チャヴチャヴァゼと『旅行者の手紙』
2 オリエンタリズムの転倒
3 植民地主義へのアイロニー
第三章 『旅行者の手紙』の地詩学
1 ジョージア・ロマン主義の地詩学的戦略
2 地詩学の利用法
第四章 二人の怠け者
1 『彼は人か⁈』と『オブローモフ』
2 ルアルサブの周囲と歴史的コンテクスト
3 教育=啓蒙
第五章 内と外の植民地
1 『オブローモフ』の物語構造
2 『彼は人か⁈』の物語構造
3 対位法的読解
第二部 ヴァジャ゠プシャヴェラとポストコロニアル・環境/動物批評
第六章 ポストコロニアル・環境/動物批評
第七章 「あらゆるものに舌がある」
1 ヴァジャ゠プシャヴェラと叙事詩『蛇を食う者』
2 蛇・カジ
3 自然の声が聞こえること、あるいは自然が声を発すること
4 花・麦穂の自己供犠
5 「もう聞こえない」
第八章 死の贈与
1 自己供犠の由来
2 デリダの贈与論・キリスト教論
3 麦穂の死の贈与とエコトピア
第九章 パンヒューマニズムの作家たち
1 擬人法
2 パンヒューマニズム
3 同時代性
第十章 結論──イリアとヴァジャ
付録 旅行者の手紙──ヴラジカフカスからトビリシまで
あとがき
初出一覧/参考文献/人名索引
五月女颯(そうとめ・はやて)
1991年生まれ。栃木県宇都宮市出身。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、日本学術振興会・特別研究員(PD)。
専門はジョージア近代文学、比較文学、批評理論。主な論文に"A Perspective of Postcolonial Zoocriticism in 19th-century Georgian Literature." Sjani 20, 1(2019), pp.174-184など。
研究のほか、通訳としてジョージア国立合唱舞踊団「ルスタビ」日本ツアー、ラグビーW杯ジョージア代表チーム、パラリンピックジョージア選手団事前合宿などに帯同。