序章
第1章 祖先
第2章 幼年時代──耕耘の頃──
第3章 少年時代──播種の頃──
第4章 大学への準備
第5章 最初の理想
第6章 教えるために学ぶことを断念する決意
第7章 トルストイの芸術
第8章 私とトルストイとの個人的関係
第9章 トルストイと私がW・T・ステッドに手を打つように仕向けた話
第10章 トルストイの弟子たちの中の私の友人
第11章 私がトルストイに会いたいと思った理由
第12章 ヤースナヤ・ポリャーナへの最初の訪問
第13章 宗教に関するトルストイとの対話
第14章 トルストイと私との間の新聞戦争
第15章 トルストイの行為についての釈明
第16章 夫と妻のそれぞれの想い
第17章 トルストイはなぜ家出をしたのか
第18章 トルストイの諸矛盾
第19章 トルストイはなぜ破門されたか
訳者あとがき
E・J・ディロン
1855年、アイルランドに生れる。ヨーロッパの諸大学で学ぶ。東方キリスト教に関心をもち、若くしてロシア・ウクライナ地方に入る。以後、ロシア民衆の中に身を置きながら、大学教授、新聞編集者、欧米通信社の通信員として、ロシアの文化人、政治家との交流を深める。また、革命直前まで元老セルゲイ・ウィッテの側近として、ロシアのみならず、広くヨーロッパ、アメリカ、アジアにわたる国際政治の動向に論評の才を振った。彼が死去したのは1933年であるが、本書の出版は1934年である。したがって、原著の著者名としては珍しい故名の付された出版となっている。その意味からも本書は、一生の思いを懐いていたロシアに関する彼の遺作、遺言ともいえる作品である。
成田 富夫(なりた・とみお)
昭和12年、愛知県生まれ。昭和35年、名古屋大学文学部国史学科卒業。元愛知県立高等学校教諭。論文:「日露戦争期におけるディロンの日露関係についての認識」(『軍事史学』第31巻第3号)。訳本:E・J・ディロン著『ロシアの失墜』(平成26年、成文社)。