第一章 ロシアの謎
第二章 ロシア人の心
第三章 ロシア人の一体感の欠如
第四章 ロシア帝国
第五章 思い起す人々
第六章 官僚支配
第七章 ニコライII世の登場
第八章 ニコライII世の統治
第九章 一九〇五年の革命運動の開始
第十章 神父ガポンとアゼフ
第十一章 ウィッテの死刑宣告
第十二章 ラスプーチン──一つの象徴
第十三章 ロシアの国際関係 「ツァーリの上ボスフォラス高地の占拠陰謀」と「膠州湾についての顛末」を含む
第十四章 ロシア帝国最後の政治家たち 「ハーグ会議の神話化」を含む
第十五章 極東ロシア
第十六章 ビョルケ秘密条約──I
第十七章 ビョルケ秘密条約──II
第十八章 暴露された秘密条約
第十九章 ロシア帝国の崩落
あとがき
補遺 秘密条約の詳細
原注
訳者解説・解題
訳者あとがき
E・J・ディロン(1854か5─1933)
アイルランド生れ。ヨーロッパの諸大学で学ぶ。東方キリスト教に関心をもち、若くしてロシア・ウクライナ地方に入る。以後、ロシア民衆の中に身を置きながら、大学教授、新聞編集者、イギリス・デーリー・テレグラフロシア通信員として、革命直前まで元老セルゲイ・ウィッテの側近として、ロシアのみならず、広くヨーロッパ、アメリカ、アジアにわたる国際政治の動向に論評の才を振った。このことは、ウィッテのみならず、遠く伊藤博文も、「ヂロン博士」として、認めているところである。ウィッテのポーツマス講和会議の際のブレーンとしての活躍はとくに有名。本書の刊行は1918年、まさに、革命真只中の刊行である。ロシアがここに到ってしまったことに対して、積年の念を吐露せざるを得なかった思いから書かれた。
成田 富夫(なりた・とみお)
昭和12年、愛知県生まれ。昭和35年、名古屋大学文学部国史学科卒業。元愛知県立高等学校教諭。論文「日露戦争期におけるディロンの日露関係についての認識」(『軍事史学』第31巻第3号)。