本書の111,180,270,287頁に誤りがありました。
(誤)千石則子 →(正)千石規子(111,180頁)
(誤)長部日出夫 →(正)長部日出雄(270頁)
(誤)『日本文学の”終焉”…』 →(正)『日本近代文学の”終焉”…』(287頁)
関係各位および読者のみなさまにお詫びするとともに、訂正いたします。
はじめに──黒澤映画《夢》と消えた「対談記事」の謎
一、フクシマの悲劇
二、映画《夢》と『罪と罰』における夢の構造
三、消えた「対談記事」
序 章 「シベリヤから還つた」ムィシキン──小林秀雄のドストエフスキー論と黒澤明
はじめに 不安な時代と小林秀雄
一、「罪の意識も罰の意識も」持たない主人公──「『罪と罰』について I」
二、「殆ど小説のプロットとは言ひ難い」筋──「『白痴』について I」
三、「アグラアヤの為に思ひ附いた画題」──ムィシキンの観察力と映画《肖像》
四、小林秀雄の主人公観と「全編中の大断層」という創作
五、『白痴』の結末をめぐる解釈と黒澤映画《白痴》
六、本多秋五の問いと黒澤明のドストエフスキー観の深まり
第一章 映画《白痴》の魅力と現代性──戦争の「記憶」と洞察力
はじめに 黒澤明のドストエフスキー観と映画《白痴》
一、復員兵の深夜の「悲鳴」
二、「分身」という方法──映画《野良犬》と映画《白痴》
三、黒澤明の芥川龍之介観──映画《羅生門》
四、父と息子の対立と「気違いじみた生活力」──軽部(レーベジェフ)の存在
五、「三角形の欲望」の視覚化と観察する力
六、一対の花瓶と若い死刑囚の眼──『白痴』と『戦争と平和』
七、燃えあがる札束とその後の展開
八、ナイフと小石の象徴性
九、「氷上カーニバルの夜」と『アンナ・カレーニナ』
一〇、映画《白痴》の結末から映画《赤ひげ》へ
第二章 映画《生きものの記録》と長編小説『死の家の記録』──知識人の傲慢と民衆の英知
はじめに 「第五福竜丸」事件と小林秀雄の原爆観
一、「核の時代」と臆病な「知識人」
二、「民衆」の行動力と「法律の手」による「束縛」
三、黒澤明と『死の家の記録』──民衆芝居と「民衆」のエネルギーの描写
四、小林秀雄の『死人の家の記録』観──主人公とペトロフの考察
五、映画《ゴジラ》から《生きものの記録》へ──知識人のタイプの考察
六、特集記事「ついに太陽をとらえた」と小説『太陽の季節』
七、消えた「対談記事」と「イソップの言葉」
八、映画《生きものの記録》から映画《この子を残して》へ
第三章 映画《赤ひげ》から《デルス・ウザーラ》へ──『白痴』のテーマの深化
はじめに 映画《赤ひげ》と小林秀雄の『白痴』論
一、映画《愛の世界・山猫とみの話》と『虐げられた人々』
二、雑誌『時代』と小林秀雄の「大地主義」観
三、映画《愛の世界・山猫とみの話》と「鬱蒼とした森」の謎
四、「共犯者」と「治療者」──『白痴』の結末についての再考察
五、映画《赤ひげ》における「師弟の関係」の描写
六、『白痴』の結末とプーシキンの理念
七、映画《デルス・ウザーラ》とタチヤーナの「夢」
八、「エモーショナルな歴史認識」と「事実」の隠蔽
第四章 映画《夢》と長編小説『罪と罰』──知識人の「罪」と自然の「罰」
はじめに 映画《夢》と「大地主義」の理念
一、小林秀雄の『罪と罰』論と映画《罪と罰》評
二、黒澤明とクリジャーノフの映画《罪と罰》
三、「やせ馬の殺される夢」と民話的な世界──第一話「日照り雨」と第二話「桃畑」
四、ソーニャと「雪女」の哀しみ──第三話「雪あらし」と脚本『雪』
五、「殺された老婆が笑う夢」と死んだ兵士たちの帰還──第四話「トンネル」
六、小林秀雄と黒澤明のゴッホ観──第五話「鴉」
七、原発事故と「良心の呵責」──第六話「赤富士」
八、「弱肉強食の思想」と「人類滅亡の悪夢」──第七話「鬼哭」
九、ラスコーリニコフの「復活」──第八話「水車のある村」
注
あとがきに代えて──小林秀雄と私
初出一覧
小林秀雄関連の参考文献
付録資料
一、長編小説『白痴』の登場人物と配役
二、映画《白痴》・オリジナル版の構成
三、カットされた後の映画《白痴》の構成
四、黒澤明・小林秀雄関連年表
高橋 誠一郎(たかはし・せいいちろう)
1949年福島県二本松市に生まれる。東海大学文学部文学研究科(文明専攻)修士課程修了。東海大学教授を経て、現在は桜美林大学非常勤講師。ドストエーフスキイの会、黒澤明研究会、日本トルストイ協会、日本比較文学会、日本ロシア文学会、比較文明学会、日本比較思想学会、世界文学会、ユーラシア研究所、東海大学文明学会、東海大学異文化交流研究会、日本ペンクラブ・環境委員会などの会員。
著書と編著(ドストエフスキー関係):『黒澤明で「白痴」を読み解く』(成文社、2011年)、『ロシアの近代化と若きドストエフスキー──「祖国戦争」からクリミア戦争へ』(成文社、2007年)、『ドストエフスキイ「地下室の手記」を読む』(リチャード・ピース著、池田和彦訳、高橋誠一郎編、のべる出版企画、2006年)、『欧化と国粋──日露の「文明開化」とドストエフスキー』(刀水書房、2002年)、『「罪と罰」を読む(新版)──〈知〉の危機とドストエフスキー』(刀水書房、2000年)
(司馬遼太郎関係):『司馬遼太郎とロシア』(東洋書店、ユーラシア・ブックレット、2010年)、『竜馬という「日本人」──司馬遼太郎が描いたこと』(人文書館、2009年)、『司馬遼太郎事典』(共著、勉誠出版、2007年)、『司馬遼太郎と時代小説──「風の武士」「梟の城」「国盗り物語」「功名が辻」を読み解く』(のべる出版企画、2006年)、『司馬遼太郎の平和観──「坂の上の雲」を読み直す』(東海教育研究所、2005年)、『この国のあした──司馬遼太郎の戦争観』(のべる出版企画、2002年)