日本語版への序言
著者より
第一部 トナカイ王
プロローグ/ヤクーチア/東京/北サハリン/パルカタ村/北樺太/最後の住民大会/ソビエト・サハリン/ホイ/アレクサンドロフスク/アンドレイ同志/逃亡/東京/ハバロフスク/クレイノヴィチ/シスカ(敷香)/オタスの杜――樺太の観光メッカ/ハルビン/カレーエフ/満洲/ヌィヴォ/モスクワ/極東のアーリア人/贈り物/特使 島谷榮次郎/経済恐慌/電報/東京/頭山/友人たち、そして……/可能性/同胞たちへの手紙/オタス/満洲国/急ぎすぎた文明化が招いた悪夢/再び東京にて/笠原/荒木/モスクワ/策動/先住民からの手紙/肯定と否定と/あせり/林/さまざまな会見/豊原/オタス/アノ/トナカイ王/女王/北緯五〇度/恐怖/閉ざされた境遇/ドレコフ旅団長の最後の仕事/ヴィノクーロフの誤算/逮捕/破綻/監獄/ヴィノクーロフの死/ヴァルヴァーラ/アナスタシーア/それぞれの運命
サハリン―サハ――時空を超えた旅――
三六〇年前のこと/聖なる谷間の地/昔のヤクーツク市/気候/ヤクート人/交通/定期市ヤルモンカ/ヴィノクーロフ家の歴史/ドミートリー/ミハイルとニコライ/ニコライの息子エゴール/ミハイル・ミハイロヴィチ/ヤクーチアと日本/運命の年/エピローグに代えて
第二部 オタス
ウイルタとアイヌの戦い/アイヌ民族/その他の先住民/オタスの学校/シャーマンたち/シャーマンはどのようにカジョーを治したか/フリアツィ(熊祭り)/オタス出身のアイヌ/最後のシャーマン/函館/志願兵部隊/もし明日戦争が起こったら/敷香/ニブフの少女マヤーク/引き揚げ/川村先生/敷香の死/死と苦悩へ向かって/ボロドの悲劇/ゲンダーヌ/「国籍はありません」/オタスの終わり/結びに
参考文献
訳者あとがき――『トナカイ王』を訳了して――
ヴィシネフスキー,ニコライ・ヴァシーリエヴィチ(Vishnevskij, Nikolaj Vasilevich)
1959年アレクサンドロフスク・サハリンスキー市生まれ。中学校教員、ポロナイスク市文化部職員、バルチック銀行サハリン支店勤務を経て、1995-98年にはサハリン州発行各種新聞の編集局の編集員。1999年から「クリーリスク地区」(エトロフ島)在ユジノサハリンスク代表、クリーリスク地区副」地区長。主要著書・論文:『オタス』(極東書籍出版サハリン支社、ユジノサハリンスク、1994)、「マルキィアン・ボリシコ」『サハリン博物館通報』((サハリン州郷土博物館年報)No.1, 1995)、『差し迫った死』(サハリン書籍出版、ユジノサハリンスク、1995)、『第2次世界大戦期におけるサハリンと千島列島―簡易百科便覧』(サハリン州国立公文書館 現代史公文書サハリンセンター、ユジノサハリンスク、2000)、「大鵬の父サハリンに死す」『文藝春秋』(2001年5月号(小山内道子訳))。
小山内 道子(おさない・みちこ)
東京教育大学文学部史学科(西洋史専攻)卒業。北海道大学文学部露文科聴講生。1985年及び1990年プーシキン記念ロシア語大学(モスクワ)留学。1991年より北海道教育大学釧路校非常勤講師(ロシア語)。「来日ロシア人研究会」(東京)会員、「函館日ロ交流史研究会」会員。訳書:チェルノコゾフ夫妻著『教師の倫理』(共訳、明治図書、1980)、イ・オシノフスキー著 『トマス・モア』(御茶の水書房、1981)。語学書:『ロシア語 釧路案内』(アーサーズ、1993)。論文:「“トナカイ王”ヴィノクーロフの生涯――北サハリンと樺太の狭間に」『異郷に生きる――来日ロシア人の足跡』所収(成文社、2001)、「ワレンチナ松坂=宮内の人生の軌跡――ロシア人として生きた異郷の40年」『異郷に生きるII――来日ロシア人の足跡』所収(成文社、2003)、「ガリーナ・アセーエヴァの歩んだ遠い道のりをたどって」『函館とロシアの交流』所収(函館日ロ交流史研究会創立10周年記念事務局、2004年3月)、「ピアニスト ポール・ヴィノグラードフの年譜作成に向けて」『回想のヴィノグラドフ――西欧人の心に映った日本の幻想、交響詩“那須野”を中心に』所収(ヴィノグラドフの会没後30周年記念記録集刊行事務局、2004年12月)、「ニキータ山下氏に聞く」、「日本統治下大連の白系ロシア人――L.ヤーストレボヴァ“始まったのは大連だった”などに拠って」『遥かなり、わが故郷――異郷に生きるIII』所収(成文社、2005)など。