はじめに
第1章 現代の神話
1 解釈をめぐって
2 感覚にみる彼我の差異
3 生と死、そして神話・民話へ
4 一神教的世界観の背景
5 ファンタジー文学の感覚とは
第2章 初期ファンタジーの挑戦――『ホビットの冒険』と『ナルニア国ものがたり』
1 ファンタジーとイニシエーション
2 『ホビットの冒険』
3 『ナルニア国ものがたり』
第3章 大人への密やかな窓――『トムは真夜中の庭で』と『銀のほのおの国』
1 現代ファンタジーの年齢的範囲と課題
2 『トムは真夜中の庭で』
3 『銀のほのおの国』
第4章 生きがいを求めるために――『モモ』から『はてしない物語』へ
1 『モモ』
2 『はてしない物語』
第5章 内的通過儀礼の可能性――『クラバート』と『銀河鉄道の夜』
1 第二次反抗期から思春期へ
2 『クラバート』
3 『銀河鉄道の夜』の通過儀礼
第6章 ハイファンタジーの可能性――『ゲド戦記』
1 ハイファンタジーの必要性
2 『影との戦い』ゲド戦記 I
3 『こわれた腕環』ゲド戦記 II
4 『さいはての島へ』ゲド戦記 III
工藤 左千夫(くどう・さちお)
昭和26年旭川市生まれ。小樽市在住。
現在、特定非営利活動法人絵本・児童文学研究センター理事長兼所長、光塩女子短期大学非常勤講師(児童文化論、発達心理学)。
著書に『ファンタジー文学の世界へ』(成文社)、『大人への児童文化の招待』(エイデル研究所 河合隼雄共著)ほか。
1989年、小樽にて絵本・児童文学研究センターを開設。絵本、児童文学を中心に哲学や心理学などの分野を交えながら、生涯教育としての全54回の講座を開講し、現在、全国に1500名以上の会員(通信会員含む)がいる。また、児童文学ファンタジー大賞の創設、文化セミナー(今までの講師:河合隼雄、大江健三郎、谷川俊太郎、梅原猛、山田太一、柳田邦男ほか)の開催、「児童図書相談士」検定創設、小樽市の「ブックスタート」の開始、などの公益事業を展開している。今後は、「児童文化と生涯学習学会」の創設などの新事業を予定している。