まえがき
第一部 左翼全体主義の歴史経験
序 章 左翼全体主義論の復活
第一章 左翼全体主義支配のメカニズム(一)――スターリン主義体制――
第一節 上からの革命――行政的・命令的方法――
第二節 党の無謬性神話と共産主義教権制
第三節 「万世一党」支配体制――ノメンクラツーラ制度――
第四節 個人崇拝――国家儀礼とコミュニタスの強奪――
第五節 恐怖政治(その一)――大テロルの論理――
第六節 恐怖政治(その二)――《人民の敵》殲滅と供犠の演劇化――
第二章 左翼全体主義支配のメカニズム(二)――後期全体主義体制――
第一節 選択的テロルの全体主義
第二節 監視と密告――旧東独「シュタージ」と中国「ダンアン制度」――
第三節 相互不信の構造
第四節 計画経済における資源の非合理的配分と生産の無政府性
第五節 経済構造のペレストロイカ
第六節 三つのジレンマ
第七節 事実に基づく真実
第二部 左翼全体主義の神話と悲劇
第三章 G・オーウェルの左翼全体主義認識の形成
第一節 希望から幻滅へ
第二節 スペイン内戦における悪夢の経験からスターリン主義体制の認識へ
第三節 「転移ナショナリズム」(代替信仰)と権力崇拝の批判
第四章 G・オーウェルにおける「大審問官」的主題の形成と展開
第一節 「大審問官」伝説の主題
第二節 大審問官とオブライエンの権力の弁証
(一)イワン・カラマーゾフの壮大な劇詩――大審問官による権力の弁証――
(二)権力の司祭たち
第三節 「跪拝の全体性の欲求」(大審問官)の勝利
――レーニン宗儀(カルト)とスターリン神話の形成――
第五章 G・オーウェルの左翼全体主義論
第一節 『一九八四年』の衝撃――スターリン全体主義政治の諷刺――
第二節 恐怖と狂気のシステム
第六章 自由の精神の軌跡――A・ジイドの場合――
第一節 緒言――基本的視点――
第二節 希望――福音主義から共産主義へ――
第三節 絶望――恐怖のソヴィエト社会とその批判――
第四節 回帰――精神としてのヒューマニズム――
第五節 追記――誠実と自由の精神の教訓――