近代日本文学とドストエフスキー
夢と自意識のドラマ
木下豊房著
四六判上製/336頁/定価(本体3301円+税)
二×二が四は死だ!近代合理主義への抵抗と、夢想、空想、自意識のはざまでの葛藤。ポリフォニックに乱舞し、苦悩するドストエフスキーの子供たち。近代日本の代表的な作家、詩人に潜在する「ドストエフスキー的問題」に光を当て、創作意識と方法の本質に迫る。(1993.12)
目次
- 二葉亭とドストエフスキー(一)『浮雲』・空想家の誕生
- ツルゲーネフを通して
- 創作への影響
- 人間をとらえる視点の変化
- 自意識を基調として
- 『浮雲』の主題と方法
- 「小さな人間」
- 空想家ピスカリョフの悲劇
- ロマンチックな自意識家
- 「見る自己」と「見られる自己」
- 『浮雲』、主題上の類比
- 文三の思い込み
- 空想家の誕生
- 語りと主人公の言葉の同化
- 作者の心構え
- 作者と主人公の関係
- 二葉亭とドストエフスキー(二)『其面影』、『平凡』・主観共同の夢と頽落
- 作品内在の論理に照らして
- 空想家の不能
- ドストエフスキーの視点から
- 主観共同性と「モノ化」
- 『貧しき人々』に関連して
- 『白夜』について
- 『白痴』について
- 実存の二重性
- 『其面影』の場合
- 二人称的世界への願望と夢
- 『平凡』の場合
- 主人公の自己嘲笑
- 作者の方法
- 作者の境地
- 二葉亭から漱石へ
- 対話的人間観の表現
- 継承の関係
- 『其面影』と『野分』に共通する主題
- 文学者の覚悟
- 人間学的レベルの対話
- サストラダーニエ
- 孤独の精神と人格
- ドストエフスキー的同化の方法
- 漱石の「間隔論」
- 「哲理的間隔論」
- ドストエフスキーで漱石を読む
- 萩原朔太郎のドストエフスキー体験
- 最初の出会い
- 朔太郎の思想癖
- 「神がなければすべてが許される」
- イワンのアンチノミー
- 朔太郎の懐疑
- 「唖とつんぼの霊」
- 朔太郎のアンチノミー
- 方法としての疾患
- 悪魔の良心
- 愛の意味の発見
- 二つの深淵の同時受容
- 他界との接触の感覚
- 朔太郎の握った手
- 長詩『笛』
- 朔太郎のデカダンス
- ドストエフスキーとの出会い
- イワンのアンチノミー
- 朔太郎のアンチノミー
- アンチノミーからの救いを求めて
- 詩作上の変化
- 我と汝の世界
- 霊魂ののすたるぢや
- ドストエフスキー文学と昭和一〇年前後
- 問題の提起
- 時代状況とロマン的イロニー
- 方法としてのイロニー
- シェストフ的不安の状況
- 日本浪曼派のイロニー
- 『純粋小説論』の意義
- 小林秀雄の『私小説論』
- ドストエフスキー的方法論の模索
- 太宰文学におけるドストエフスキー的主題
- ロシア文学への関心
- 「自意識という不安の精神」
- 対峙の美学
- 芸術家の覚悟
- 逆説的論証の構造
- 自意識のイロニーと仮面
- 悪魔的なるもの
- 反立法の役割
- パロディ・夢想家
- 道化的悪魔
- タイプとしての道化・嘘
- ユロージヴイ(聖痴愚)
- 愛の理念
- 永遠なるもの・待つ
- 作者と主人公の関係
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