森と水と日の照る夜
セーヴェル民俗紀行
M・プリーシヴィン著/太田正一訳
A5変上製/320頁/定価3262円(本体3107円+税)
知られざる大地セーヴェル。その魂の水辺に暮らすのは、泣き女、呪術師、隠者、分離派、世捨て人、そして多くの名もなき人びと…。実存の人、ロシアの自然の歌い手が白夜に記す「愕かざる鳥たちの国」の民俗誌。一九〇六年夏、それは北の原郷への旅から始まった。(1996.5)
目次
- 丘の上で――序にかえて
- 案内人マヌーイロ
- 苔むした湖沼、水たまり、丘また丘を越えて 《懼かざる鳥たちの国》へ
- 野宿とエゾマツの群落
- 序奏――ペテルブルクからポヴェネーツまで
- 船旅
- ピョートル大帝ゆかりの地からラドガ湖、スヴィーリ川、オネガ湖畔の町へ
- フィンとカレリア
- 閉鎖予定の修道院に立ち寄る
- 旧教徒たち
- 有名なソロフキ修道院の来歴少々
- 船着き場の風俗
- 森、水、そして岩
- 北の森、この世の果て
- ヴイグ
- カレリア島へ
- 白鳥伝説
- スウェーデン人、フィン人、スラヴ人の絶えざる衝突の歴史
- 匪賊《パン》の伝奇
- 僭称者
- 荒れ狂う瀑布の見物
- 旧教徒たちの厳しい自然との闘い
- 泣き女
- 島の日常
- 泣き女スチェパニーダ・マクシーモヴナとの出会い
- ワシミミズク、ワタリガラス、フクロウ――セーヴェルの原始的俗信について
- 「寡婦の哀泣」
- マクシーモヴナの半生――出生、少女時代、恋愛、村の婚礼
- 核家族化
- 泣き女ウスチーニヤ
- すなどり
- カレリア島の威圧的ですらある貧困
- 村のできかた
- 魚網と魚の魔法使い
- 水の精
- 浮送の出稼ぎ
- 筏流しの実態
- 伝統漁
- 島の放牧、乳搾り、子どもたちの釣り
- 草刈りは重労働だ
- 冬、森の小屋でマヌーイロ、昔語りをすること
- ブィリーナの謡い手
- 旧教徒の厳格な生活
- リャビーニンの息子
- 一徹の人グリゴーリイ・アンドリアーノフの結婚、開拓地の生活
- 《隠者と百姓》
- 母なる大地の石ころ
- 豪傑イリヤー・ムーロメツとドブルィニャ・ニキーチチ
- 詩と真実
- 猟人
- ヒジョーゼロ村へ――案内人は高名の猟師フィリープ
- フィリープの回想――森の魔物
- さつおの暮らし
- 呪術師あっての猟
- 罠と仕掛け
- クロライチョウ、キバシオオライチョウ、クマ、ヘラジカ、シカ
- 家畜の被害
- クマとの遭遇
- 呪術師
- 森と水の魔物、家霊の起源について
- 魚、家畜、武器、婚礼の呪術師
- 治療師
- 語りべマヌーイロの「イェルサレムは大地の臍」
- 呪術師ミクーライチのお祓い
- 呪文を書き留める
- 憎まれ男マクシームカの霊力
- ヴイグの隠れ里――分離派宗の夢の跡
- ニーコン以前の信仰
- ソロフキ
- 最後の審判
- ヴイグへの逃亡の歴史
- スターレツと呼ばれる僧たち
- 「ダニール、おまえは舵取りになれ」
- 共同体の建設とアンドレイ・デニーソフの偉業
- アンチキリスト
- 『大王の道』
- 無僧派のイェルサレム――ダニーロフ
- そしてついにダモクレスの剣は落ちてきた
- リュボーフィ・エゴーロワ
- 世捨て人
- 無僧派の分裂
- ポモーリエの容婚派とフェドセイ派の独身主義
- 遍歴派エフィーミイの説教
- 世捨て人ムーハとの出会い
- アンチキリストのパスポート
- ふたたびペテルブルクはネーフスキイ大通りの雑踏
- 滝の飛沫
- 訳者ノート
HOME|
既刊書|
新刊・近刊書|
書評・紹介|
チャペック|