2011 . 03 . 13 up
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*3月25日(新暦4月7日)。天使ガブリエルがマリアに処女受胎を告げたとされる日。
*『自然の暦』(邦題『ロシアの自然誌』の春の章(1926)には、移り行く季節の擬人化(ロシア独特の言回し)がぽんぽん飛び出す。「冴え渡った満天の星月夜。冷え込みがいちだんときつくなった……戸外(そと)はどうかと出てみると、ちょうど隣のお年寄り(彼は農民である)も用便に立ったところである。『冷えますねえ』わたしが声をかけた。相手はすぐには返事をせずに、あたりを見まわす――雪、星空。あとは何もない。それから、足でトンと地面を突くようなことをやって、ようやくそこで寒さの話になった。『これは孫が爺さんを迎えに来たですな』。わたしは雪の中を歩いてみた――べつに埋まりはしなかった。『なかなかしっかりした孫ですよ』、わたしは老人にそんなことを言い、それから子どもたちを起こしに行った」(「キバシオオライチョウの繁殖地」から)
自然科学を学ぶ人間〔プリーシヴィン自身もそうである〕の歓びはどこから来るのか? 彼らはじつに陽気で楽天的――その歓びは彼らの特権だ。
text - 太田正一 //scripts - Lightbox PageDesign - kzhk